企業側が望むことと産業看護師が抱える問題点

産業看護師とは、企業の医務室や健康管理部などで働き、従業員の健康管理や健康相談などに対応するのが主な仕事です。どの企業にも産業看護師がいるのかというとそういうわけではなく、現在のところ、産業看護師を雇用しているのは規模が大きい事業所(従業員数1000人以上)が主になっています。規模が小さい事業所になればなるほど、産業看護師を雇用しているところは減ってきています。従業員数が99人以下のところになると、看護師や保健師の活用さえもしていません。産業看護師を雇用している事業所でも、半分近くが1人のみの雇用としており、事業所規模が小さくなるところほど雇用人数は少なくなっています。産業看護師が企業で行っている業務はというと、健康相談や保健指導と職場の巡視や安全、衛生委員会への関わり、そして健診実施などの年間計画作成への関わりとなっています。その一方で、企業側が産業看護師にやって欲しい業務が、健康相談や保健指導、労働衛生教育や健康教育の企画や講師、そして健診実施などの年間計画作成への関わりでした。企業側は、健康相談や保健指導はもちろんのこと、労働衛生教育や健康教育などで講師をやって欲しいと望んでいます。しかし、産業看護師として雇用された看護師は、今まで企業での勤務経験がなかったことや、労働衛生についての細かな知識がなかったことが問題だと感じています。企業側が看護師に望むことはよく理解しているのですが、看護師側からすると初めて企業に就職した時に、産業保健に関する基礎研修を受けていなかったとしており、企業側の看護師の教育体制を整えることが重要なのではないかと考えられます。